ミステリー小説 ~言葉とトリックの魔法~
私は読書が大好きです。
私小説、エンターテインメント小説、エッセイ、ハウツー本、自己啓発本、絵本など、様々なジャンルの本を読みます。
夢中になって本の世界に浸っていると、それだけでストレス解消になります。
今回は、ミステリー小説で印象にのこっている二作品を紹介します。
「模倣犯」(著者:宮部みゆき)
ミステリー小説の楽しみ方は、本を読み進めながら謎を解いていくことだと思っていました。この小説を読むまでは。
例えば、作中に出てくる探偵と一緒になって推理を進めてみたりします。いよいよ犯人が、犯行方法が、犯行動機が解明されるという段になって、いったん本を閉じて、探偵さながらに推理をしてみたりもします。
そんなミステリー小説特有の楽しみ方ゆえに、一度読んでしまったら、その物語の謎を知ってしまうことになるので、だいたい再読することはありませんでした。
そして今回、紹介させていただく「模倣犯」(著者・宮部みゆき)です。
私は初めて、何度も読んでしまいたくなるミステリー小説に出会いました。犯人もすでにわかっている、犯行方法も知ってしまった。でも、時期をおいてまた読もうと思ってしまうのです。まるで、純文学を繰り返し読むかのごとく、その文章を味わいながら再読しようと思うのです。
私は、ミステリー小説を本当に人生の娯楽として読んでいました。何か忘れたいことがあるとき、嫌なことがあったとき、ただただその本のストーリーを追うこと、文字を読むこと、謎を解くことを考えて没頭します。
しかし、この「模倣犯」は、文章や人間の心情を味わい尽くすミステリーでした。人生や社会の残酷さも思い知らされます。
この小説は、読み手によって、また同じ読み手でも、読んだ時期によっては犯人や主人公が変わるかもしれません。
次に読むときには、どんなお話になっているだろうか、とても楽しみです。
「葉桜の季節に君を想うということ」(著者:歌野晶午)
どんでん返しの小説といえば、この本が必ず紹介されています。私は、見事に騙されてしまいました。どんでん返しのところで、読んでいた本を落としそうになりました。
主人公は、探偵事務所に勤めていたことがあり、現在は「なんでもやってやろう屋」と称して、いろいろなことに挑戦しています。高校時代の後輩、通っているジムのマドンナ的存在、自身の妹も交えながら、事件に関わっていきます。
好奇心旺盛な主人公とその妹が巻き込まれる事件と、登場人物たちとのやりとりが軽快で、楽しく読めます。
私はこの本を、職場で昼休みに読んでいました。三分の二くらい読んでいたところで、すでにこの本を読んだことがあるという同僚に
「騙されてるよ~」
と確信的にささやかれました。
「え?もうかなり後半だけど」
「うん、その感じは騙されてるね」
「えええ?」
というような会話をかわしました。
その後、読み終えたときに、見事に騙されていたことを知るのでした。
まとめ
ミステリーのトリックは、もう出つくされたと言われていますが、信じられない新しいミステリーがこれからも生まれてくるかもしれません。
そうでなくても、まだ読んでいないたくさんのミステリー小説が世の中にはたくさんあるので、存分に読む楽しみを謳歌したいと思います。